真夏に手袋をして――CapeOX療法2サイクル目の末梢神経障害

現在、S状結腸癌の治療中です。

外科的切除を終え、いまはCapeOX(ケイポックス)療法と呼ばれる化学療法を受けています。注射薬のオキサリプラチンと、内服薬のカペシタビンを組み合わせる治療です。

3週間を1サイクルとして、1日目にオキサリプラチンを点滴します。その後、2週間カペシタビンを服用し、1週間休薬します。そして、次のサイクルに入ります。

さて、化学療法、いわゆる抗がん剤治療と聞いて、多くの方が最初に思い浮かべるのは副作用だと思います。

吐き気や食欲不振は想像しやすい症状です。実際、私にもありました。点滴後しばらくは吐き気が続きましたが、数日たって少しずつ落ち着いてきています。

脱毛を思い浮かべる方も多いかもしれません。ただ、私が受けているCapeOX療法では、今のところはまだ出現していません。

実は、いま一番困っているのは、手足のしびれ・痛みです。

特に冷たいものに触れたとき、痛みとしびれが強くなります。オキサリプラチンによる末梢神経障害と呼ばれる症状です。

冷たいものを口にすると、口から喉にかけて痛みとしびれが走ります。そのため、暑い夏だというのに、毎日温かいものばかり口にしています。

初回の治療では、こうした症状は2、3日で治まりました。

ところが、2サイクル目となる今回は少し違います。治療から1週間たっても、しびれや振戦、冷たいものに触れたときの痛みが残っています。

「昨日よりは、今日は少しましかもしれない」

そう自分に言い聞かせながら、なんとか過ごしています。

治療前から副作用については理解していたつもりでした。患者さんにも、これまで何度も抗がん剤の副作用について説明してきました。

それでも、知識として知っていることと、自分の身体に起こることは別でした。

正直に言えば、「抗がん剤を甘く見ていたな」と反省しています。

初回をそれなりに乗り切れたため、2回目も同じように過ぎていくだろうと思っていたのかもしれません。しかし、治療は毎回まったく同じように進むわけではありません。

医学的には知っていたことですが、自分の症状として経験すると、その意味はずいぶん違って感じられます。

一方で、治療を完結しなければ次には進めません。

ただし、我慢して予定どおり続ければよい、というものでもありません。症状の程度や続き方を主治医に伝え、必要であれば治療内容について相談していくことも、治療の一部なのだと思います。

医師である自分が治療方針を決めるのではなく、患者として、がん専門医に症状を正確に伝える。そのうえで、一緒に次の治療を考えてもらいます。

「真面目な患者」として治療に取り組むとは、黙って耐えることではないのでしょう。

つらいものはつらいと伝え、分からないことは質問する。専門医の判断に任せるべきところは任せる。

それが、いまの私にできることだと思っています。

夏に冷たいものが飲めないのは、なかなかつらいものです。

それでも、温かいものや辛いものは意外と大丈夫でした。食べられるものを探しながら、少しずつ日常を組み立て直しています。

真夏に手袋をして、温かい飲み物を持ちながら外来診療をする。

少し奇妙な姿かもしれませんが、当面はそれでやっていくしかありません。

治療中であっても、日常は続きます。

患者である時間と、医師として働く時間。その両方を行き来しながら、無理をしすぎない範囲で外来を続けていきたいと思います。

なお、吐き気については、実際に経験してみて意外な発見がありました。

その話は、次回に書こうと思います。

【医学的な補足】

CapeOX療法は、オキサリプラチンとカペシタビンを組み合わせる治療です。オキサリプラチンでは、冷たい刺激によって誘発されるしびれや痛みなどの末梢神経症状がみられることがあります。

ただし、症状の持続期間や生活への影響は人によって異なります。治療継続、休薬、減量などの判断は、症状の程度を確認したうえで主治医が行います。副作用への対応は、患者が一人で我慢するのではなく、医師、看護師、薬剤師を含む医療チームで進めることが重要です。

※このブログは治療法を勧めるものではなく、総合診療医である本人が、患者として専門医と相談しながら治療を受ける過程を記録するものです。