緊急事態宣言の延長が有効な理由について
緊急事態宣言の発出や延長について、「ただのモグラたたきなのではないか?」との意見をよく耳にします。
確かに、緊急事態宣言を出せば感染者が減り、止めれば増える。ダイエットとリバウンドを繰り返している状況のように見えます。
おそらく、ファクター、因子が加わらなければ、波はどんどん大きくなっていくのでしょう。緊急事態宣言はあまり意味がないように思えます。
しかし、100前のスペインインフルエンザが終息したように、いずれパンデミックは終わります。
どのように終わらせるかが問題です。100年前のように、感染しやすい人が皆感染し、死にやすい人が皆死に絶えたら放っておいてもパンデミックは終わるでしょう。
ただ、現代社会で倫理的にもその様なことは看過できません。なんらか人為的にパンデミックを終息させ、無為に死ぬ人を減らす必要があります。
その希望が、ワクチンです。今回のメッセンジャーRNAをもちいたワクチンは、歴史に残る一つのエポックメイキングな出来事だと思われます。
仮に変異ウイルスが出てきても、ファームウェアを書き換えるようにRNAを変えれば良いだけなので、対応も早くできます。
「高齢者や重症化しやすい人にワクチンを打つ時間を稼ぐ」、これが緊急事態宣言発出や延長の意味です。
<どうなる?変異株の拡大・最新予測シミュレーション>
NHKスペシャル「新型コロナ“第4波” 変異ウイルスの脅威」令和3年5月2日放送から抜粋
https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/blog/bl/pneAjJR3gn/bp/pdOwZxlkod/
内閣官房のシミュレーションプロジェクトで、感染予測に取り組む筑波大学の倉橋節也さん。
東京都をモデルに、今後の感染者数の変化をシミュレーションで予測しています。計算では、国の方針や論文のデータなどを参考に、「高齢者へのワクチン接種のスピード」や「N501Y変異ウイルスが感染を広げる力」をこのように想定しました。
予測の結果です。緊急事態宣言が効果を示せば、感染者は一旦減ります。
しかし、11日に宣言を解除すると、すぐにまた急増。
1000人を超えた時点で、再び強めの制限をかけても、6月初めまで上昇は止まらないという結果となりました。
仮に、宣言の解除を2週間延長しても、ピークが1か月ほど遅れるだけで、感染者の急増を免れることはできません。
この結果は、宣言期間延長の効果を上回る勢いでN501Y変異ウイルスが拡大するという、従来株にはなかったリスクを示しています。しかし、重症者数を予測すると、興味深い結果が現れました。
宣言が11日までの場合、重症者数は、2週間後には100人を優にこえるペースで増加します。しかし、解除を2週間延長すると、その間にワクチン摂取の効果が現れ始め、重症者の増加は抑え込まれるという傾向が示されました。
倉橋教授「高齢者の接種が5月から本格的に始まりますが、その時間をできるだけ稼いであげれば高齢者が免疫をつけることができますので、後ろのピークを遅らせれば遅らせるほど重症者数が下がる。つまり医療崩壊を防ぐことができる大きな効果に結びつく可能性はあります」
武田アナ「尾身さん、このシミュレーションどうご覧になりましたか?また宣言解除の基準や、タイミングどうお考えでしょうか?」
尾身会長「これもう、しっかりと下げるっていうことが大事である、それから特に高齢者になるべく早くワクチン接種をやっていただきたいと思います。解除の条件はもう何度も申し上げていますように、ステージ3に入ることが基本的に最低条件です。その上にステージ2までしっかりと下がる見込みがあるということで、かなり下の方に急激に下げるか、あるいは、下げ止まりしても、すぐには解除しないで、少し下げ止まりの状況を維持するということも重要になってくると思います」
武田アナ「濱田さん、医療現場を守るためにですね、さらにどんな手を求めていかれますか?」
濱田特任教授「やはり感染者数を減らすということが、医療崩壊を防ぐための一番の手だてになると思うんですね。パワーアップしたウイルスであることは確かなんですけど、予防方法は同じなんですね。ですから、国民の皆さんコロナ疲れがあると思いますけど、もう少し予防を強めていただく、外出を控えるとかですね。ゴールは見えてます。ワクチン接種が始まっているので、もう少し頑張っていただきたいなと思っております」
https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/blog/bl/pneAjJR3gn/bp/pdOwZxlkod/